2001年6月19日火曜日

福岡県にお住まいのいちごサクラさんからの相談。


 以前から疑問に思っていたのですが、世の多くの男性は自分のことを 「俺」という人が多いと思います。 私の遠い記憶によると、小学校低学年の頃の男子は、 「僕」と言っている子のほうが圧倒的に多かったように思います。 いつ頃何をきっかけにして、「僕」から「俺」へと一人称が変化するの でしょうか。 また、どうして「俺」と言うようになるのでしょうか。


おこたえします。

 「僕」から「俺」への一人称の移り変わりについてですか。非常に興味深い問題です。まずは、統計学的見地から考察する必要があるでしょう。
  日本の標準的と思われる小学4年生からサンプリング調査を行ってみました。のび太・スネ夫・ジャイアン・出来杉、この中で「僕」というのが3人、「俺」を使っているのは1人でした。さらに、その1人が「ガキ大将」であることが明らかになっています。
  この調査の結果、日本の標準的と思われる小学4年生における一人称の使われ方の状況は「僕」が75%と圧倒的に多く、「俺」を使うのは一部のガキ大将に限られるということが判明しています。
  もう少し対象を上の年齢層に向けてみましょう。学校法人男塾の調査では95%以上の学生が「俺」を使っているようです。
  このように多くの男性において、少年期から青年期に至る過程のどこかで、「僕」から「俺」へとシフトする時期が訪れるということがいえると思います。しかも、そのタイミングは自分で決めなければならないのです。

 さて、少し見方を変えてみましょう。ここで、注目しなければならないのは、ある瞬間から、誰に対してでも「俺」を使うようになるのではなく、話を する相手に応じて一人称も変化するのだということです。友達に対しては「俺」と言っていても親や先生に対しては「僕」を使っているという場合もあります。
  「俺」や「僕」というのは、実は自分の中での自己のあり方を表しているのではなく、他人に対して自分をどう演出していくかということなのです。

 つまり、自分の話す相手に対して「僕」って言うんじゃ格好悪いなとか、恥ずかしいなと感じたときに、はじめて「俺」を使うようになるので しょう。また、「ぼくのおとうさんがね…」が「俺のオヤジがさぁ…」という具合に、同じような動機で変化していくのはなにも一人称だけに限ったことではな いんですね。
  また、このような変化が発生する時期というのも、なにも少年期から青年期に限るわけではなく、「ワンワン」じゃなくて「イヌ」っていえた方がかっこいいと か、いつまでも「ぶーぶー」とか「まんま」とか言っていたら恥ずかしいなと思って幼児語を卒業した経験など、おそらく「いちごサクラ」さんにもあったので はないでしょうか。
  老若男女問わず、心身の成長や環境の変化、話をする相手によって、言葉で自分をどう演出するかということが変化するケース、結構多いような気がします。

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